M a s t e r m i n d



袖ひちて水を掬びしことなんかないけど風に春は立つらむ


酒ばかり飲んで過ごしてその泡のうたかた君にあはで消えめや


朝まだき嵐の山のもみぢ葉の錦をまとふなんてださくて


夕されば門田の稲穂すれあひて遺伝子を組み換へゆくこころ


花は根に鳥は古巣に帰るならオレは酒場を春のとまりに


屏風的描写は好きじやないけれど天の香具山かすみたなびく


つひに来ぬゴド−を待ちて暮れそむる松帆の浦の夕なぎにゐる


霜がれの横野の堤ぬばたまの臣民たち、と千鳥なくなり


冬の夜の雲の端より世紀首をかひま見せつつ出づる月影


吹く風にたへぬ露よりつれなくて僕はMastermindである


携帯が君を起こしてしまつたら山の端めぐる冬のいなづま


山裾に鐘はさえつつ有明の月の下には犯人がゐる


見渡せば霞のおくに木枯らしといふ美少女の棲むみなせ川


いまきみの寝覚めの花の香にかをる枕を抱いて冬めいてゐる