光響
いまだ犯し足らぬと思ふ君の背を往く帆船のこぼすひかりは
己をボクと呼ぶ少女ゐて春風の中ジェラートにともにこごえつ
いくそたびひとり目覚めしわが額に月させば見る蝶のはばたき
舌をもてなぞればもるる吐息かな月のしろしめす時の終はりに
湯浴みての裸体を湯気につつませて星を追はむと初夏のヴェランダ
レモンソースフェットチーネの夕べかな向きあふ君をかなたに置けば
夏至の雨きらめき
他人
(
ひと
)
のものとなる悲しみをわが解放として
初出:北九州通信「暗」2002・夏季65号
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