泉の夜
蛾の蛹火にくぶる君 もののふのごとかきいだくすべは知らねど
ナイフ、フォークきらめきながら音たてぬ夜を汝(な)が眉は鮮明すぎて
君の身にわが肉片を沈めつつ脳裏に天の金雀枝(えにしだ)は満つ
たびたびに眠り覚まして過ぎゆくに泉よこたふごとき君かな
身にまとふものなき夜明けを家中の時計数秒づつずれて指す
「泉の夜」より 初出:「毎日新聞」朝刊文化欄、2003.5.25
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