冬の暦学
小春日や砂場に沈む美少年
若くして元帥 冬の椿ふみ
影落としつつ湯ざめする高踏派
負けながら暦学史読む冬の旅
貴様には言ふことにして寒の雨
寒稽古少年愛さるるばかり
毛皮着て歩く男に神宿る
軍刀にこぼるる笑みや遠き火事
学徒兵なる概念や雪仏
顔見世に殺した顔を見出せり
裏切りを奴に吹きこむ実朝忌
人妻に溺れし友よ葛湯飲む
熊手買ふ夜鷹の一生(ひとよ)聞きながら
この国に散華多くて懐手(ふところで)
事始め祗園に呼ばれ愚痴を聞く
苦しみて少年生きよ水仙花
討ち入りの日の雪隠に籠もりたり
牡蠣食ふて貴様を抱けぬ理由(わけ)ふたつ
見舞はずに遠くまで来て都鳥
狐火の蒼くて君のこころかな