2004年07月30日
★ 今日の読売新聞夕刊(一部地域除く)に、いよいよ短歌魔宮拡大版「月下の歌会」が掲載される。新聞に掲載されなかった作品も、ここで紹介していこう! よくチェックしておいてほしい。
そのとなりのOTAKUジャパンでは、(福)記者による少女小説の記事が。せっかくなので文中で紹介されている吉屋信子のおすすめのシリーズを。
暁の聖歌―吉屋信子少女小説選 (1)
返らぬ日―吉屋信子少女小説選 (2)
紅雀―吉屋信子少女小説選 (3)
三つの花―吉屋信子少女小説選 (4)
毬子―吉屋信子少女小説選 (5)
ちなみに第五巻の『毬子』の解説は黒瀬が書きました。
2004年06月08日
サブカル短歌魔宮 第一夜
サブカル短歌の伝道師、カラン卿である。
せっかくのブログであるので、ここでも短歌魔宮出張版を。ちょっと新聞とはおもむきを変えて。
そもそも、サブカル短歌とはなんであろうか? サブカルを詠みこんだ短歌? それも正解の一つだ。しかし、「アニメやマンガの名前が短歌の中に入っている」というだけでは、なぜわざわざそんなことをする必要ががあるのかわからんとは思わぬか?
サブカルを短歌に詠みこむことで何が実現できるか? ではここで、「一般的な短歌」においてサブカルを詠みこんでみた試みを紹介してみよう。
おぼつかな銀河鉄道さいはてに佇んでいるおれのメーテル
しみじみと「同棲時代」読み継ぎき何であんなに哀しかったか
机のうへにガンダムフィギュア並べいる男の夢の宇宙なにいろ 沢田英史
一首目の「メーテル」はみなよく知っているとおり、松本零士原作の『銀河鉄道999』のヒロイン。ここで、あえてアニメのキャラクターを出してきたことで、作者の中にある「少年性」が強調される。「ああ、ボクは何をしているのだろう。どこか、行けそうもないところまでボクをだれか連れて行ってくれないか。きっと、そこにはあのやさしいメーテルがボクを待ってくれているんだ。」
二首目の『同棲時代』は若いものたちには判らんかも知れんが、上村一夫原作のマンガ。70年代に大ヒットした。若い男女二人の愛憎を描いた、くらーい、かつ深い名作。これをリアルタイムで読んだ人たちは強烈な記憶を共有しているのだろう。そのマンガ一作によって心を結ばれている同世代に、「あのころはどうしてあんなに哀しかったのか、そしてどうして今の私はこんなに変わってしまったのだろうか」と訴えているわけだ。
三首目は説明不要であるな。これは、サブカル的アイテムが「自分にとってはやや共感しにくい存在」の象徴として使われている。
つまり、この三首はサブカル的なものを使うことで、それでしか表すこと出来ない感情や時代の特有性を示している。普通、短歌といえば、「伝統的な花鳥風月」ばっかりが使われていると思われがちかもしれない。でも、現代の私たちの生活や感情は「花鳥風月」では表現しきれなくなった。むしろ、「サブカル的なものでしかあらわせない感情」や「サブカル的なものを通じて分かり合えるコミュニケーション」さえ生まれている。それこそが現代性ではないのか!?!?!
今日もまた渚カヲルが凍蝶の愛を語りにくる春である
キラ、君のいる戦場へ翔るとき永遠までに五分たりない カラン卿
第一夜は、それの穏健的な試みを見てみた。では、さらに過激にしていくとどうなるか。次はそれを紹介しよう。第二夜は12日の予定。アディオース!!
◎ 今回紹介した沢田英史氏は昭和25年生まれ。40歳ころから短歌を始め、平成9年、「異客」50首にて角川短歌賞を受賞しデビュー。平成11年、第一歌集『異客』にて現代歌人集会賞。現在、「ポトナム」選者。引用は『沢田英史集』(邑書林)より。じきにbk1で買えるだろう。
★ 永井陽子さんの遺歌集『小さなヴァイオリンが欲しくて』。在庫発見。容易に手に入る最後のチャンスかも。