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2005年08月31日
セレクション歌人16『鈴木英子集』

水無月にかなしき水を湛えおり家族をつつむ東京の水
水から来てみずへうたえる子守歌夜を照るわれのふたりご真水
ずりり子が生まれ落ちたる朝の陽や再生されゆく私と思う
し・お・さ・い、と、ささやかれたら潮騒を生むからだだと気づいてしまう
第一歌集『水薫る家族』、第二歌集『淘汰の川』からの引用は最小限に留め、未刊行歌集『油月』を完本として納めている。つまり、セレクションではありながら、実質的に鈴木英子の第三歌集となる一冊。
おそらく、『歌人セレクション』はこの『鈴木英子集』を出したことによって、存在価値を一段と増した。そう言えるのでは無いかと思うほどの一冊。短歌には、言葉に翻訳できない感情を言葉で読者に伝える力がある。つまり、言葉の表層的な意味性にだけとらわれていては、作品の深化はあり得ないということだろう。鈴木英子の歌は、強烈なテーマ性と意味性(女性性、出産、障害を持つ子供との生活)のまっただ中にありながらも、それが韻文として表現されることの絶対的なレゾン・デートルを備えている。
短歌に溺れるのではない。「短歌との親和」の、理想形に近い姿がこの一冊にある。とりあえず、新人賞がどうとか題詠マラソンがどうとか言ってる短歌初心の人は、つべこべ言わずに読んだほうがいいと思う。ほんとに。
8月31日
★第四回歌葉新人賞の候補作が公開されている。
今回は満票が二人もいて、なかなか波乱含みの選考となりそうだ。ただ、一読して、満票の二人がケータイ短歌や枡野浩一のかんたん短歌blogの投稿者だからというわけではないが、なんというか、全体的に口語短歌のムーブメントの悪い意味での影響を受けすぎているような気も。歌を「書いた」「作った」という感じが強くて、歌を「詠んだ」「唄った」という側面が抜け落ちているような。まあ、自分も人のことを言えないのだが。
その中で、黒瀬としては、島なおみの「十月のファム・デリカと砂の船団」を推したい。どこか、遠い戦争の響きを聞きながら、砂漠で燃えあがる方舟のイメージ、というと深読みしすぎだろうか。
こちらで読むと、美しい。
★『あまえないでよっ!!』 #9「歌わないでよっ!!」
アイドル志望の女の子の幽霊の願いを叶えるために主人公たちが力を貸すが、だんだんと現世への未練が強くなり……。というよくあるネタ。お経を唱えるシーンが多いので、個人的に面白がって見てるだけなのだけど。『タイド・ライン・ブルー』は例によって録画だけして寝る。
★「ぱにあ」57号が届く。
福島久男が「現代短歌を斬る」とかいうコーナーで実に陰険な事を書いている。斉藤斎藤、松木秀の短歌について「お上手、お上手、ろくな日本語教育も受けていないのに、よく歌らしきものができましたね」と述べ、二足で立ったレッサーパンダ程度の芸とみなす、との内容を書きつけているが、これは一体どういう了見なのか。
今回の福島久男の文章は、現在の日本は政治もひどいし、こんなろくでもない時代には、一時的な面白さ奇妙な発想の短歌しか生まれない、などという、到底理解不能なしろもので、これを掲載してしまう「ぱにあ」の編集部にも問題はあるのではないか。批判したいなら、きちんとテクストを踏まえて正々堂々と批判すればよいものを、「ろくな日本語教育も受けていない」とはなんという卑劣な書き方か。まさか、「これは現代の教育状況への批判であって、斉藤、松木両氏には含むところはない」などとは言わないだろう。
前号の「ぱにあ」でも福島久男は岡井隆の作品について、下らない難癖をつけていた(これに関しては「中部短歌」6月号に書いた)。黒瀬が見た「ぱにあ」は二冊だけだから、おそらくこの連載では他にも浅劣な文を書き散らしているのだろう。浅薄なルサンチマンによる文章など、自分の卑しさを印象つけるだけではないのか。それで己は「直言の士」と自認し、深い考えもなくそれに拍手を送る人々がいる。たぶん、毎月大量に刊行される地方などの短歌結社誌には、そんな文章が山のようにあるのではないか。
短歌界の問題は、自称「直言の士」が憂いているような箇所よりも、自称「直言の士」による低俗な文言が飛び交う点にあるのではないだろうか。
★ひさしぶりに晩ご飯いっぱい食べたら、お腹が大変なことに。ああ、八月もおわりですね。
投稿者 Karan : 00:26 | コメント (3) | トラックバック
2005年08月30日
あずまきよひこ『よつばと!』4巻

よつばの自由奔放な行動と発想が、大人の僕たちに忘れていたことを気付かさせる。遠い夏休みの記憶が、心の奥を温かくしてくれる。名作。
あくまでも漫画家によって「創作」されたものではあるが、よつばの日々は、全てに感動することの出来た子供の日々の輝きに満ちている。しかし、実は、それ以上に大切なのは、よつばの心を虚心に受けとめることの出来る周囲の大人たちの存在だ。うがって言えば変人ぞろいなのだが、だれ一人としてよつばの言動を「子供のたわごと」としては退けない。一番現実的な、隣家の長女あさぎも、よつばの言葉を一言たちとも疎かにはしていない。読者は、子供と大人が揃って「心」を共有している風景に感動するのだ。
いつだって子供は変らない。変ったのは、子供を取り巻く大人の社会の心だ。このマンガは子供だけでなく、本当は、子供でなくなった大人にこそ読まれなくてはならないのかもしれない。
8月30日 および『かみちゅ!』
★ここ数日忙しく、疲れもたまって、週末もずっと引きこもっていた。日記も間が開いたが、正直、特筆するようなことも起きていないのが悲しい。
★というわけで、今まで届いたのが、「みぎわ」9月号、「熾」9月号、「図書」9月号、上村典子歌集『貝母』、伊吹純歌集『切り通し』、花森こま句集『銀河の恋人』、「詩歌句」年鑑作品掲載以来、角川「短歌」年鑑作品掲載依頼、角川「短歌」11月号14首依頼、その他もろもろ。
★『攻殻機動隊SAC 2』#21「敗走」
随分とまじアクション。面白かった。
★『かみちゅ!』 #8「時の河を越えて」
南洋に沈む戦艦大和の魂を呉に帰還させるという話。アニメとしては珍しいテーマかもしれないが、「大和の労をねぎらう」という単純な温情話になってしまっていいのか。大和が持つ「罪の側面」をばっさりと切り離したのは、製作脚本の明らかな意図によるものだろう。しかし、今回の話が「戦争を語り継ぐ」ことへの呼びかけの、本来の姿ではないことを、作品の中に込めるべきではあったはずだ。
情報でしか戦争を知りえない現代だからこそ、情報で戦争を知ることへの懐疑を強くする必要があるはずなのに、情報で大和にアプローチしている。ゆりえ達が語り合う大和トリビアは、オタク気質の負の面を示していないか。
そして、情報を越えた次元で大和へのアプローチが表現されるべき箇所で、結局、「艦橋の上に座るセーラー服の少女」という記号が醸しだす「アニメ的な優しさ」で大和を包み込むだけに終始してしまったことに、やはり欺瞞を感じずにはいられない、のだ。
アニメで戦争に触れる(描くのではなく)、とはどういうことなのだろう。
2005年08月26日
8月26日
★昨夜の『苺ましまろ』は台風情報のおかげで、放映時間がずれたそうで。時間きっちりにセットしてた。死ぬ。
おとつい出た『かみちゅ』DVDの1巻欲しい。初回限定のピンナップとかいらないから、だれかくれ。
★仕事の後、珍しく飲みに出た。仕事のグチを言い合う。ああ、これが日本労働者のガス抜きという奴ですね。
★「朔日」9月号届く。吉本蜂矢『デビューマン』2巻買う。
★『苺ましまろ』は来週本放送の前に再放送するそうで。ふう。まあ、当然だわな。そういや、昨晩の『電車男』、エルメスにオタカミングアウトしてたけど、オタクの部屋ってあんなに片づいてるかな。
2005年08月25日
外山功雄『オーデクスバグ』

今まで自分は何をやってきたのだろうかと情けなくなった。というのが一読した感想。いや、一読程度でこの詩集が読みきれるわけがない。言語が言語としてしか存在しないまでの分断を経た後に立ち現れる、強烈な意味性。形容の中に縛られた言葉たちは、まるで戦陣に向かう兵士のようだ。オーバードライブする言語の転用の嵐に、めくるめくトリップ感を味わうがいい。
岡井隆は「日本語の韻は57調(もしくは75調)しかない」という意の発言で、現代詩がもはや韻文ではないということを指摘していたが、いや、外山功雄の詩こそが現代の「韻文」なのかもしれない。
エクストラ・ヴァ・ガンザ! オーデクスバグ!!
8月25日
★デスマーチが聞こえてまいりました。年末に向けて死ぬ予定。
★有楽町の無印良品の「Meal MUJI」のデリのシステムが変わっていた。ご飯大盛り無料もスープもなくなった。おかずの選び方にも規制ができた。主菜ばっかり選ぶやつがいたのかな。うーん、ここ、気に入ってたんだけどなあ、なんか割高感が発生。
★映画監督の豊田利晃が覚醒剤で捕まった。『空中庭園』はどうするんだろ。 さっそくこんな話が飛び交ってるけど、まあどうでもいい。豊田監督の作品といえば『青い春』。物語的には酷評した記憶があるけれど、鮮烈なショットの数々は忘れられない。
★道満清明『続 性本能と水爆戦』かう。歌人後援会より共産党のチラシ届く。変な名称つけずにストレートにやればいいのに。後援だなんて、なんか恩着せがましい。玉城徹個人誌「左岸だより」14、15号届く。玉城さんが個人誌出してるなんて知らなかった。
2005年08月24日
中村文則『土の中の子供』

うわー。純文学してるよー。作中で主人公がカフカの『城』読んでるし。 題だけ見ると舞城風味ですが。
まあ、そんな世評で言われているほど酷いとは思わなかった。むしろ、言語の中に押し込められた精神の揺れと展開に迫力があって、それなりに面白いと思った。まあ、これは現代的な「心理小説」と思えばいい。だから、児童虐待ものだとか、アダルトチルドレンものだとかいった、表層的な瑣末なことにとらわれて読んでると楽しめないんじゃないのかな?
確かにかなりの「若書き感」があるし、芥川賞作品としてはけっして高い標準を示しているとは言えない。正直、併載された短編「蜘蛛の声」の方が、妄想小説で面白かった。
中村文則のタイプの作家が活躍することは大事だと思うので、そういう意味で今回の芥川賞は意味があったのかな、と。
8月24日
★ここんとこよく眠れない。仕事的にはインターバルなんだけど、今までの疲れが一気にあふれたのかな。午後はずっと会議。
★今月の「カラン卿の短歌魔宮」入稿。今回は全体的に低調。掲載は読売26日夕刊。
★実家に戻ったとき部屋を整理してて転がり出てきたフィルムを現像してみた。これってどう見ても桜島。なぜか詰襟の男どもとバスガイド。右下に94って書いてあるよ? ……高校の修学旅行の時の写真。
しかも後半は、自分の部屋でナルシーなポーズをとっておられる黒瀬推定17歳さまが。死ねる。なにがどうなってこんな写真。死ねる。
★『甘えないでよ』は最初5分撮りそこね。『タイドラインブルー』録画セットして寝落ち。まだ一度も見てない。
2005年08月23日
美水かがみ『らき☆すた』


女子高生たちが極めてまったりと生活しておられます。主人公の泉こなたは筋金入りのオタっ娘ですので、いろいろと無茶を申されます。しかし、決して殺伐とはならずに、あらゆる意味で脱力系。オタクネタ満載とはいえ、ディープなネタには走らず、あくまでも「やりたいことをやろうよ」というぬるーい空気にあふれた素敵マンガ。
『あずまんが大王』『トリコロ』に続く、萌え系4コマひさびさのヒットとなるかもしれません。萌え属性に理解があって、日々のプレッシャーを少しでも忘れたい人に。とはいえ、こなたのように物欲まみれになるのはいかがかと。
8月23日
★体調が思わしくない。黒瀬の場合、それが精神状態に直結するので、ここ数日、正直つらい。朝一で、富山から梨が一箱届く。嬉しい。
★「短歌研究」9月号を買う。新人賞は奥田亡羊さん。作品の「麦と砲弾」は台本的な構成を持ち込んだ意欲作。これが新人賞であることには全面的に賛成するが、作品の持つ精神構造自体は保守的に思われた。もっと、人間の精神のあり方を揺さぶるような作品は、短歌では求められないのかな。石川不二子の「短歌研究は前衛最後の砦」うんぬんという発言に驚く。もう他は陥落しちゃったのか。
★「短歌現代」9月号を買う。アララギ色の強い歌人による塚本追悼文が載ってて、なるほどなあ、と思う。大河原惇行にとっては、塚本は写実歌に立ちふさがる存在なのか。雁部貞夫は追悼文になってない。大辻隆弘による「塚本におけるリアリズム」の指摘には興味を持った。関係ないけど宮地伸一の「旧仮名を涙を呑んで捨てる覚悟はある」うんぬんの発言はビックリした。
★『攻殻機動隊S.A.C 2nd GIG」 #19「北端の混迷」
なんか最近素子姐さんが姐さんらしくなくて面白い。ある意味、クゼの引き立て役も果たしてる。ストーリーはどんどん訳解んなくなってるけど。『かみちゅ』は録画セットして寝落ち。
2005年08月22日
『塚本邦雄の宇宙−詩魂玲瓏』
6月に逝去した現代短歌の巨匠・塚本邦雄の偉業を各方面から照射した、完全保存版の一冊。 黒瀬は追悼論考として「塚本曜變」を寄稿しました。
諸家による座談会、追悼文をはじめ、代表歌500首選、小説、論考などの塚本作品、その他、追悼本だからこそ書ける様々な事実などが満載されている。塚本の世界に心震えた人ならば必ず、そして、塚本を読みたいが何から読めば解らないという人も、ぜひ手にして欲しい。
しかし、こういう本は、身近な人間ほど辛辣に書く傾向があるなあ、と思う。遠ければ遠いほど伝説をなぞるわけで、まあ、そういう冷酷な分析も必要なのだろう。小沢實と坪内稔典が同じ俳句を挙げて評価がまったく違ったり、現代詩からみた塚本像など、読むたびに興味は尽きない。
8月22日
★朝一から夜中まで、ものすごい勢いで仕事してた。一日で仕上げた仕事量にちとびびった。毎日、これくらいの集中力で仕事できたら、そりゃはかどるだろうけど、一週間もしない間に神経焼き切れるのは確実。
★なんというか、「みかんの星」の小島さんが大変っぽい。
http://orangestar.littlestar.jp/#0818
http://orangestar.littlestar.jp/#0823
黒瀬もおんなじような事よく考えて一人で鬱になるので(いや、鬱になるからこんなこと考えるのか?)、言いたいことは良く解るし、それが真実なんだろう。やっぱり仕事でデスマーチは嫌だよねえ。
黒瀬は小島さんのファンなので、マンガ作品がいつの日か単行本とかにならないだろうかと夢見てる。→小島アジコさんのWebcomic
★あ、『妖怪大戦争』の川姫、下に何にもはいてないように見えて、エロくてエロくて仕方ありませんでした。わざとだと思うけど。ああ、もう黒瀬にはすねこすりは見えないのね。
2005年08月21日
8月21日
★お日さまが出てる間はお部屋に籠ってました。風の噂でワンフェスがあったとかなかったとか。
★夜、『妖怪大戦争』を見ました。
あー。
世の中には、この映画を心から楽しめる人がいっぱいいるはずだ、うらやましいなあ、と思いました。すみません、黒瀬は仲間になれませんでした。いや、黒瀬だって治虫よりも水木しげるで精神形成された端くれですよ? 出てきた妖怪片っ端から名前分かりますよ? でも、入り込めませんでした。
全体を通してのエコ観と左派的教条主義。たぶん、京極夏彦たちの指示と、三池監督の感性が、完全に矛盾してるんだと思う。何とかして映画の世界に入り込もうとしたけれど、最後まで乗れなかった。もう少しで入り込めそう! ってところで内輪ネタがぽこぽこ出てくるもんで、引いてしまう。
神木隆之介は、現代っ子以上に現代っ子らしい現代っ子を演じていて、見事だった。神木でなくては、この映画は目も当てられないことになっていたのは確実。魔人加藤が嶋田久作でなくて豊川悦司だった点については「ああ、この役を嶋田さんに依頼するほどにみんな無礼になりきれなかったのかなあ」という感想を抱きました。
角川の『怪』好きの人とか、楽しめると思います。娯楽映画としては、たぶんかなりよくできてます。お勧めします。でも、世の中にはいろんな人がいて、たぶん、映画マニアでこれダメってひと、多いだろうなとも思いました。
面白いのに楽しめない。あー、くやしー。
★『ぱにぽにだっしゅ!』 #8「熊に山椒 鯉に胡椒」
エンディングも含めて、魔法少女べホイミ祭りだった。無理やりすぎ。
2005年08月20日
古賀亮一『新ゲノム』1

夏休みといえば昆虫採集。というわけで、お子様のお供にぴったりの『新ゲノム』です。エルフのお姉さんと暴走気味のロボットと一緒にムシのお勉強をしようという学習マンガ。これさえあればあっという間に虫博士になれるばかりでなく、情操教育、社会教育、性教育にも効果抜群。お子様に世の中の不条理をたたきこんでみたり、ひと足早い性の目覚めを告げてみたり。『シノブ伝』もそうだけど、のほほんとただようレズっ子風味に一段と萌え。で、イソギンチャクとかシャコとかってムシだっけ?
8月20日
★午前、下北沢へ。マイミクのmashさん、読売の(福)記者に誘われて、スープカレー専門店「マジック・スパイス」でのオフに参加。朝から行列の大人気店。
マジスパ初体験だったので、黒瀬は「悶絶」(下から三段目の辛さ)+チーズのせ+べジマッシュ(野菜ときのこ)に挑戦。思ってたよりいけたので、次はワンランク上げよう。
同行のお三方は、辛さ最高級の「アクエリアス」に挑戦。合体! ゴー! アクエリアース! なにこれきもちいー、とはならなかったみたいで、お一人脱落。一匙口にしたけど、こりゃすげえ。黒瀬はここまで修羅道を歩む勇気はない。
★秋葉原に行く面々と別れ、芝公園のグランドホテルでの「草野心平を語る会」&「詩歌句大賞」授賞式に、どんなことになってるのか知りたかったので行ってみた。語る会は粟津則雄、那珂太郎、宗左近、入沢康夫といった「歴程」の長老たちと、筑摩の元編集者・晒名昇による、草野心平の思い出話。宗さんが「心平の詩論」なんだか「自分の詩論」なんだかよく分かんない話を広げたり、那珂さんがお疲れで途中下壇したりしたが、面白いことは面白かった。『詩歌句』の秋号に載るらしいので詳細はそちらで。
その後の詩歌句大賞と詩歌句協会賞の授賞式に関しては、多くは言わずにおく。ただ、俳壇って、ゆがんでるな、と思った。まあ、歌壇も同じか。そもそも欠席の返事を出しておいてこっそり来たので、パーティーは出席せず。詩人の阿部日奈子さんと一緒に帰った。
今日は他にも色々イベントがあったけれど、どっと疲れたのでそれ以外足を運ばず。
★菊地富美子個人随筆誌「天馬」3号、届く。例の青山学園の「ひめゆり学徒の話は退屈」入試の話に触れていたが、これを憂う人ほど実際の問題文を確認していない。その方が問題でしょうに。
2005年08月19日
ちまきing『あふがにすタン』

アフガニスタンを萌え擬人化して、戦争の歴史をたどった4コママンガ。作者がウィニーでウイルスくらって、えらいことになって叩かれてるのは、まあ、この際無視しよう(リンク先がちと犯罪臭かったので、リンク外しました) 。
ここにあるのは、世界に対する「絶望的な無関心」でしかない。この本を手に取る自分を含めて、だれも「アフガニスタン」に心を寄せてなどいないということを見せつけてくれる一冊。
「マンガとして表現に限界があります」、とか「アフガニスタンに関心のない人に知ってもらうために出しました」とか、「興味を持ったら、ちゃんとした本を読んでください」とか、どんな言い訳並べようが、この本を出すことは罪である。罪だから出すななんてことは言わないが、罪であることをしっかりと自覚して欲しい。すべての表現者は罪から逃れられないと言ってしまえばそれまでだが。
作者はたぶん、アフガニスタンの歴史について、それはもう勉強しただろう。しかし、そのアフガンに関する知識と、三国志の武将の知識と、一体どう質が違うと言えるのだろう。知識としてしか関心が持てない。それを「絶望的な無関心」といわずして何と呼ぼうか。
8月19日
★午後、体調おかしくなる。仕事がすすまねー。それでも結局夜11時過ぎまで仕事してた。
★『ぺとぺとさん』#7「ちりんちりん」。銀座と言われれば銀座だけども、毎日銀座にいる黒瀬としては、どうも田舎臭い背景だった。なんというか、インターバルな平和な回。録画して即寝落ち。
★増田静さんよりハガキ個人誌「シャボン玉ホリデイ」6号届く。ゲストは盛田志保子。間鍋三和子歌集『樹下石上』届く。
★機動選挙Zガンダム。
激しく笑った。 さりげなく綿貫落ちてる。カミーユポジションの人の知名度がいまいちだけど。覚醒のポイントはムネオハウスです。
2005年08月18日
岡井隆『ぼくの交遊録』

本人が書き残さないと無かったことにされてしまう重要な事柄というのは結構多くて、作家本人による身辺雑記的な回顧録はそれだけで重要。本書はそれ以上に、短歌が熱かった時代への岡井隆自身の愛惜が込められていて、言葉のはしばしに胸をうたれる。どこか、現在への諦念にも似たものがあるのだけど、それすらも岡井隆の詩心のみなもとなのかもしれない。
個人的な事を言えば、黒瀬もリアルに立ち会った事のいくつかが綴られていて、あー黒瀬はこのころ本当に岡井さんによくしてもらったんだなあ、と思った。熊本のシンポ、淀川歌会を訪ねてこられたタチアナさん、乱詩の会、その他もろもろ。そういえば、小暮政次さんの死を岡井さんに告げたのも黒瀬で、あの時「え!? 聞いてないよ」と言った岡井さんの驚きの顔は忘れられない。
8月18日
★仕事のあと、宮崎から戻ってきてる田中奔くん(槐さんの息子さん)を囲む会、なるものへ。渋谷。奔くん、随分焼けてた。なんか、南国少年ってかんじ。あと、石井辰彦さん、中ザワヒデキさん、松井茂さん、斉藤斎藤さん、とか。フレームがレンズのど真ん中を走っている中ザワさんの眼鏡をかけさせてもらう。すげーカッコイイけど見にくくないのかな。
ワインをハーフボトル程度飲んだだけなのに、酔っぱらう。お酒弱くなったかなあ。疲れてんのかな。何が何だか分からなくなったまま、「風花」に拉致される。うだうだやってたら、島田雅彦さんが来た。もうだめぽだったので、ひと足先に退場。
★ああああああああああ『苺ましまろ』忘れてたよあああああああ三週間ぶりの放送なのにああああああああああああだれか録画してないですかああああああダビングさせてああああああ
★ なんか篠原一が大変なことになってる。
集英社の文芸雑誌「すばる」8月号に掲載された篠原一さんの短編小説「19℃のロリータ」と、1998年に祥伝社から刊行された楠本まきさんの漫画「致死量ドーリス」のストーリーが酷似している上、同じ表現が数カ所あることが分かった。両社は篠原さんが盗作した可能性があるとみて調査を進めている。「致死量ドーリス」も「僕」と若い女性の「君」の物語。女性が死へと向かうストーリーが共通しており、特に(1)突然髪を切る(2)何種類ものかつらをつくる(3)体にはさみを刺して自殺未遂をする――など女性の行動が酷似している。「この部屋のエアコンディションは快適だ」「中途半端に破滅型なの」など同じ文言もあった。読者らの指摘で事態が明らかになった。インターネットでも話題になっている。すばる編集部は「調査中」としている。 (毎日新聞より一部)
篠原さんなら、自分の読者層と楠本さんの読者層が思いっきりかぶってるって事は先刻承知だろうから、オマージュ的な意識的引用だと思ったんだけどなあ。文末に一言注記しとけば良かったのかな。単行本にするときに入れるつもりだったのかな。というか、篠原一を担当するんなら、楠本まきくらい読んどけ編集者、とか思ったりするけど、忙しいですか。
案の定、篠原一のサイトのBBSやらブログコメントやらが荒れまくってる。まあ、ここに突入してる連中は、匿名性の中に理由なき悪意をたぎらせてるだけの連中だから、二つの作品を比較して読んだりはしてないだろうけど。そもそも、どっちも読んだことなかったりして。(なんかBBSとか閉鎖されたよ。)
2005年08月17日
氏家ト全『妹は思春期』6

バカマンガなので、なぜか安心して買ってしまう。黒髪キャラがみんなそっくりなので、ちょっと見分けがつかなくて混乱するが。黒瀬的には、ボーイッシュ系イノセント少女の金城に萌え。前にも言ったような気がするけど。
8月17日
★朝4:50起床。父母に別れを告げ、ハニーに見送られて、6:08ののぞみにて帰京。そのまま職場へ直行。暑いね。
★「短歌往来」9月号届く。黒瀬は評論「一筋の糸と私」を寄稿しています。春日井建、塚本邦雄、斉藤斎藤が描いた「私」についての論考です。長文ですが、機会があればお読みください。他には、新人特集として生沼義朗、玲はる名さんらの短歌が載ってます。
★「レ・パピエ・シアン」9月号届く。ファッション短歌アンソロジーの小林久美子選に黒瀬の「女装趣味(トランスヴェスタイト)の友と駆け降りし三年坂に風塵は満つ」が取られている。感謝。
先日出た「京大短歌」の京都短歌アンソロジーにも、この歌が取られていた。今までまったく言及される事の無かった歌だが、予期せぬ方向から、しかも連続して取り上げられるとは。こういうこともあるもんだな。
2005年08月12日
石井輝男死去
亡くなったそうです。
12日午前9時43分、肺がんのため東京都内の病院で死去。81歳。
そうか。
石井輝男も死ぬのか。
石井監督には何度かお会いしたことがあります。
話していると、普通の人にしか見えないし、
ものすごく常識的なことしか言わないんだけど、
どこかしら、完全に狂った人間の空気がありました。
普通の話をしているのに、
あ、この人やばい、と思わせる一瞬がありました。
鬼才でしたね。